Pithecanthropus Erectus

読んだ本などの感想を書いてます。

手塚治虫『火の鳥 別巻 ギリシャ・ローマ編』

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この本には「エジプト編」「ギリシャ編」「ローマ編」「漫画少年版 黎明編」の4作品が収録されている。

火の鳥・エピソードゼロ、的な感じで私は楽しんだ。

ラブリーな火の鳥ちゃんの、キュートな物語だった。

 

ところで、妄想力を解き放ち、木を見て森を見ずな読書を心掛けている私ですが、「エジプト編」での洞窟の火おこしシーンには、「おお」と思わずにはいられなかった。

 

どんな場面かというと、主人公の男性とヒロインの女性が、洞窟で雨宿りするのだけれど、

これによく似た場面が、『火の鳥 太陽編』で登場するのだ。

犬上と、十市媛(とおちのひめみこ)が、洞窟(祠だけど)の中に身を隠し雨宿りをするのである。そしてかなり印象的な展開が繰り広げられる。

となると、「エジプト編」の二人も、描かれはしなかったものの、輪廻転生的に考えて、きっと犬上&十市媛のようになったのだろう。つまりあれはメタファーとしての火おこしだったというわけだ。

 

それはさておき、これで完全に『火の鳥』が終わってしまったことがとても寂しい。

もっと続きが読みたかった。ずっと読み続けていたかった。

 

今日の『世界まる見え! テレビ特捜部』を観ていたら、ハンターに狩り殺される専用のライオンが育てられている、みたいなことが紹介されていた。

そのとき私は息子の歯を磨いていたのだけど、つい興奮して、「殺されるための動物を育てるなんて、火の鳥の生命編で描かれていた未来とまったく同じになってる!」と息子に語ったら、息子は、口の中を泡だらけにしながら、「火の鳥は予言者が描いたのだな」とちょっと気取って答えていた。

 

いつか子どもたちにも『火の鳥』を読んでほしいな。私のこの変な感想群もね。