Pithecanthropus Erectus

読んだ本などの感想を書いてます。

松浦理英子

松浦理英子『ヒカリ文集』

「偽物でも本物でも、上手な笑顔には優しさが宿っているじゃないですか。それで十分ですよ。あるのかないのか証明できなくて伝わりもしない本物の愛より、偽物であっても目に見える笑顔の方が人の役に立つと思います。(後略)」(p.230) ヒカリという名の女…

松浦理英子『風鈴』

いまは大人になった「わたし(アオイ)」が物語る、子供の頃の話。 それは忘れられないひと夏のまばゆい体験、と思いきや、である。 終盤、物語は急速に陰りを見せ、瞬く間に真っ暗闇の穴に落ちて、穴の底から地上を見上げるところで幕となる。 主要な登場人…