Pithecanthropus Erectus

読んだ本などの感想を書いてます。

町田康

町田康『ギケイキ③ 不滅の滅び』

そして私にとってそれは私によって私自身の魂を鎮めること。死者である私のために私が祈る祈りなのである。だから私は静のことを語ろうと思う。ふるえる声で語ろうと思う。そう、それこそnovelのように。(p.352) どうも現代に「いる」らしい源義経が、みずか…

2023年10月24日_町田康_高円寺JIROKICH

冒頭、町田康さんは、おおよそ次のようなことを語る。 綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)という言葉がある。これは、天子(偉い人)の言葉は、取り消しできないという意味である。なぜ、天子のような偉い人の言葉を、汗という汚いものに例えるのか、昔か…

町田康『ギケイキ② 奈落への飛翔』

兄は、「僕の使者を殺すなんて信じられない」と息巻いて周囲の人たちは、「ですよねー」と同調したが、兄の居ないところでは、「ああなったら、普通、殺すよな」「殺す殺す」と言い合っていた。 このことで私ははっきり兄と敵対することになった。 (p.221)…