手塚治虫
この本には「エジプト編」「ギリシャ編」「ローマ編」「漫画少年版 黎明編」の4作品が収録されている。 火の鳥・エピソードゼロ、的な感じで私は楽しんだ。 ラブリーな火の鳥ちゃんの、キュートな物語だった。 ところで、妄想力を解き放ち、木を見て森を見…
そうだ 今の私はもう人間じゃない 肉体はもう死んだんだ (p.397) 残り数ページのところで、マリモという名の狼が、草原を疾走し、異空間のようなところに飛び込んで、狼化したスグルのもとへ辿り着く場面が見開きで描かれている。 私はそこからページをめく…
登り切るぞ バベルの塔め おれのロック・クライミングの力を見ろ!!(p.338) 舞台は中大兄皇子とか中臣鎌足が生きていた頃。だから600年代後半くらい。 主人公は狼マスクの男。 Wikipediaによると「古代日本最大の内乱」と呼ばれている「壬申の乱」にいたる…
あれは この場所が とざされた世界だからです ここでは…時間(とき)が狂い 逆行もいたします (p.15とp.111) 『異形編』の主人公はとある女性。 彼女は幼少期より父親から虐待を受けていた。 成長した彼女は、「父親の病気を治させない」ために、「父親の病…
わたしは遠い遠い国から来たといいましたね…… その国は じつをいうと 今から千五百年も未来の国なのですよ (『羽衣編』p.313) 高熱を出した平清盛は回復することなく、早々に没する。 そしてここから、混沌を極める乱世編の「本番」が始まると言っても良い…
この鳥は山鳥や 雉の仲間なんだわ 異国の鳥で 羽がきれいなだけで…… ただの鳥なんだわ たぶん (p.204) 舞台は1172年。 京都では、絶頂期にある平家一族が、ぶいぶい言わしている。 『平家物語』の世界である。 弁太、という素朴で怪力な木こりの男と、平清盛…
でも たいていの人は 後悔してると思うわ だれだって地球へ帰りたがってるのよ…… 宇宙の生活 ほんとにつらいもの…… (p.89) これまで、過去、未来、過去、未来と交互に描かれてきたけれど、前作の『火の鳥5 復活編』に続いて本作の舞台も「未来」である。 そ…
フェニックス きいてくれ ぼくはもうふつうの人間じゃないんだ 人工的につくられた つくりものの生命なんだ!! これが復活なら ぼくはもう ごめんだっ!! (p.161) 舞台は西暦2482年。 前回の未来パートの『宇宙編』が2577年のおはなしだったので、 『復活…
おれは生きるだけ生きて…… 世の中の人間どもを生き返らせてみたい気もするのです (p.355) 時は奈良時代。 東大寺にどでかい大仏が建立されたころの話である。 茜丸という男前な彫刻師と、 我王という鼻のでかい男、の二人を中心にして物語は描かれる。 『鳳…
あなたの顔は永久に見にくく…… 子子孫孫まで罪の刻印がきざまれるでしょう (p.318) 『ヤマト編』は『黎明編』の続きの話になっている。 続きといっても、『黎明編』の最後に出てきたタケルという若者が、 かなり年老いて村の長老みたいな感じで登場するくら…
「動物はどんどん滅びさっていき…… 人間たちの進歩も ばったりとまりました 地上に目に見えない死のかげがただよいはじめ…」 「わかった だがどうすればなおる? わしになおせないだろうか?」 「あなたにでもむりでしょう 地球をなおせる人間は ひとりしか…
「わたしは あとなん年 生きられるだろう 十年……? 五年かしら… それとも 三年………? 死にたくない‥ ……死にたくない死にたくない!! 火の鳥の血がほしい!! 永遠の命がほしい!! ほしい ほしい ほしい」 (p.233 ヒミコの嘆き) どこかのおおきな火山が、大…