Pithecanthropus Erectus

読んだ本などの感想を書いてます。

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ちくま日本文学035 織田作之助』

今は無くなってしまったが数年前までNHKラジオで『文化講演会』という番組を日曜日の夜にやっていた。色んな分野の専門家が、色んな所で行った講演を放送するという一時間の番組である。私は興味がある分野もない分野も関係なく、毎週、専門家の話を聴いてい…

三木卓『21世紀によむ日本の古典14 井原西鶴集』

井原西鶴って、あれですよね、安土桃山時代あたりの人で、クレイアニメの第一人者でしたっけ? そんな誤った認識しか持ち合わせていなかった私だが、この本は面白かった。 井原西鶴は江戸時代の人である。1642年生まれ。1693年没。当時のベストセラー作家だ…

斎藤美奈子『挑発する少女小説』

かつて良妻賢母育成ツールとして生産されたという少女小説(家庭小説)。でも、小説で教育って可能なのかな? 時代を超えて読み継がれる、子供たちを夢中にさせてきた少女小説には、「小説で教育してやる」という大人たちの陰謀からはずれた、むしろそんな思…

水木しげる『のんのんばあとオレ』

水木しげるさんの自伝。少年時代がメインに語られている。そういう時代だったというのもあるのだろうけれど、もう、暴力がすごい。喧嘩ばかりしている。隣町のガキ大将軍団とのど派手な抗争もあれば、学校のクラスでなめられないために、ボスザルの地位を手…

松尾潔『おれの歌を止めるな』

私が愛聴していたラジオ番組『松尾潔のメロウな夜』が終了してもうすぐ二ヶ月。松尾さんの「新譜がたまっています」が好きだったのだけれど、そのフレーズは今年に入ってから一度も聞かれないまま、番組は三月に終了した。感動の最終回だった。でも、悲しか…

広瀬正『マイナス・ゼロ』

戦前、戦後に起きた実際の事件・事故の日時を取り込みつつ描かれるタイムマシンの物語。過去と未来を何度か行き来して展開する話は面白く、続きが気になって読み進めるのだけれど、同時にとても面白く感じるのが、克明に描かれる当時の人々の暮らしや、風景…

山本加奈子『マンガでわかるジャズ』

これまでずっと漫然とジャズと呼ばれるジャンルの音楽を聴いてきた。「おー、なんか、いいなー」って感じで、漫然と。私はそういう聴き方が好きだし、これからもそうやって聴いていくつもりでいるのだが、しかし、NHK-FMの『ジャズ・トゥナイト』が聴き逃し…

岡田明子、小林登志子『シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン』

シュメル人ってのは何者なんだろう。どこからきてどこへ消えたのかはよく分かってないらしいんだけれど、人類最古の高度な文明を築いていたのは間違いなさそうである。 世界各地の神話に「洪水伝説」があるというのは有名で、これは、全世界を覆う巨大な洪水…

小林登志子『シュメル――人類最古の文明』

最古の文学者だというエンヘドゥアンナ王女のことが気になって、この本を読んだ。 今から六千年前くらいにシュメル人という人たちがいて、高度な都市文明を築いていた。そんなシュメル人たちの暮らしが詳しく紹介されている。 なぜそのように大昔のことを、…