Pithecanthropus Erectus

読んだ本などの感想を書いてます。

大須賀健『宇宙のふしぎ最前線! 謎だらけの宇宙にいどむ』を読んで

大須賀健『宇宙のふしぎ最前線! 謎だらけの宇宙にいどむ』

 

昔、オールナイトニッポンプレミアムの大槻ケンヂの番組に、演歌歌手の山本譲二が「UFO専門家」として登場した回があった。自分は知らなかったけれど山本譲二氏はUFOをよく見かけることで有名らしい。

 

山本氏は、孫が可愛くてしょうがないらしく、このラジオ出演のあと孫の誕生日をお祝いしに行くことになっているから一刻も早く帰りたい、みたいなことを言い続けて大槻氏を困惑させながらも、興味深いUFO目撃談を語っていた。

 

そして氏、曰く。

「空を見ていればUFOなんてしょっちゅう見ることができる。今の人は空を見なさすぎる」

なんだかすごいかっこよさげに聞こえる。そして続けて山本氏は「俺の孫がいかに天才か」を、UFOを語る時の5倍くらい熱く語っていた。

 

自分はとくにUFOを見たいとは思わなかったので、それ以降、意識して空を見るようなことはなかったけれども、大須賀健『宇宙のふしぎ最前線! 謎だらけの宇宙にいどむ』を読んで、ああこういうのって大事だなと思った。

こういうのとはつまり、空を眺めてUFOを探すこととか、宇宙に思いを馳せることとか、そういった気宇壮大なことを考えることである。

 

この本は名著『ブラックホールをのぞいてみたら』とほぼ同時期に出版されていて(『宇宙のふしぎ最前線!』の方が2週間ほど早い)、構成も少し似ている。

ただおそらく『宇宙のふしぎ最前線!』の方は小学校高学年あたりを読者層と想定しているような作りになっていて、イラストはふんだんに使われているし、チュータという宇宙服を着たネズミのキャラクターも登場する。なぜネズミなのかはわからない。

しかし子供向けだからといってあなどってはいけない。この本は大人こそ読むべきだと自分は思う。なぜか。それは気宇壮大な気持ちになれるからである。そしてそういう気持ちになるのって大事だと思うからである。

 

大人って、けっこう面倒くさいことで疲れる機会が多いじゃないですか。

なんかもう、ルールとか納期とかお金とか人付き合いとか。

人間がよりよく生きるために人間が生み出したものたちが人間を苦しめる。疲れる。

やっぱそういう時は宇宙ですよ。

人工の対極にある、人智のまったく及ばない大宇宙の桁外れのスケールに身を任せると、なんというかもう頭が、しがらみだらけの地上の重力から解き放たれて、楽。癒される。自由になれる。自分たちはいつだって自由なんだ、これまでも、これからも。と、しみじみと思える。

 

本書のサブタイトルにもある通り、宇宙はいまだに謎だらけである。

本文中には「まだわからないことだらけだ! しかしこれからどんどん明らかになる! そういう計画が進んでいる! それは~年ころからスタートする! 君たちはその結果を目にすることができるかもしれない! 僕も楽しみだ!」みたいなことがたくさん出てくる。なんかね、こういうの読むとすごいポジティブになれる。わくわくする。気宇壮大って大事だと思う。

 

子供たちにもお勧めの本だけど、日々、くさくさしている大人たちこそ、本書を読んで、自由になることをお勧めします。そして宇宙のしくみをより詳しく知りたいときは、『ブラックホールをのぞいてみたら』を読むのをお勧めします。面白かったです。