デフォー『ロビンソン・クルーソー』武田将明訳
すなわち、生きていると、想像するのも嫌で逃げまわっていること、そこに堕ちこめばなによりも恐ろしく、最悪なことがあるけれど、それはまさに救済への扉を開く鍵となることが多く、実はそれがなければ嵌まりこんでいる苦境から抜け出すことができないのだ。(p.257)
ロビンソン・クルーソーという名の男が、色々あった末に無人島に漂着し、そこで28年ぐらいほぼ一人で暮らす、という話。
スマートフォンもパソコンも何もないなか、ロビンソンは生きるために必死で頭と体を働かせる。
孤独と向き合い、自然に身を任せる日々を送りながら、ロビンソンは神について考えるようになる。
この神についての思索こそが、いわば「背骨」としてロビンソンを支え、彼を最後まで人間たらしめていたような気がする。
ロビンソンは色々と考える。やがて、今で言うところの「多様性を認め合うべきなのでは」的な考えの一歩手前まで行きつく、ような気がする。
あと、野蛮人(とロビンソンが呼んでいる人たち)って、ほんとに野蛮と言えるのかな、みたいなことも考えたりもしている。
なんの後ろめたさもなく奴隷貿易がなされていたこの時代において、なぜロビンソンはそんな考えを持つにいたったのか。
それはたぶん、彼が無人島に流されたからだろうと思う。うまく説明できないけど。
面白い小説でした。
亀の卵って、うまいのだろうか? この小説を読んでいると、無性に食べてみたくなる! あと干し葡萄も。